 |
|
 |
|
vol.3
|
中国とのビジネスは可能性無限
|
中国とのビジネスは、当社が2000年9月に中国IT事業部を設置してからなので、既に4年以上が経過しています。IT開発費の大幅なコストダウンを図りたいと思ったのがきっかけでした。中国と一言で言っても(例えば日本とのビジネスに意識が高い大連は日本の大手企業との取引が多くて、中小企業相手の小回りが利かない…など)地域によって特性がありますが、いずれにしても日本とは民族性、商習慣の違い、ビジネススタイルに大きな相違があることを痛烈に体感しています。例えば、契約スタートから製品納期までのスケジュール調整のルーズさ、売掛金回収の困難さ、製品に於いては、日本的当たり前の基準から見た品質の低さ、マネジメント能力の未熟さ。この4年間の経験で言えることは、これらは日本企業とのビジネス経験の少ない中国人の特性であり、日本側がしっかりと主導教育し、日本のビジネススタイルに合わせてもらい、うまく付き合っていくことが大事だということでしょうか。中国側としては、日本の昭和30年代のように経済発展に対し企業も人材も非常に積極的で、日本とのビジネスがいかに有用なものか気づいていますので、日本の商習慣に合わせてビジネスをすることに抵抗がなくなっています。今、ビジネスをしていて非常に面白いですね。
中国とのビジネスをする上で明らかなメリットは、コスト削減です。具体的に言いますと5億円の売上のうち外注費が2億円だった場合、その外注費用を2千万円までコストダウンすることが可能になります。これは日本の外注業者にIT開発を発注していた当社にとっては画期的なことでした。さて、この大きなメリットを得るためには乗り越えなくてはならない「マネジメント能力の未熟さ」というデメリットがあります。技術力は日本よりも高いといえる程なのですが、その技術力を生かすマネジメント能力が残念ながらまだ欠落しています。日本人のエンジニアならば、「完成した製品品質水準」の価値観が統一されているので、開発仕様書も細かい作業までは明記されていないのですが、中国に仕事を発注する場合の開発仕様書は、細かい仕様を完全に網羅した莫大なドキュメントを用意しなければ同じ品質の製品は期待できません。「仕様書に書いていないことはしない」、それが彼らの特性です。我々が中国とのビジネスで時間を割いたのは、そのドキュメントの整理・落としこみと言えると思います。また、作業着手の前に、その製品がなんのために作られるのか、どんな製品なのかという机上理論、そしてどうやって作っていくのかという実践研修も必要です。そして開発途中には現場に足を運んで見に行くなどして、常に相手を鍛えていくことが、中国とのより良いビジネスをする対策と言えるでしょう。このようなビジネスをする上で、通訳の方が重要な役割を果たすことが多々あります。今後中国とのビジネスを検討される場合は、日本で社会経験のある中国人で、中国企業、日本企業どちらの味方をするわけではなく信頼できる情報を与えてくれる通訳の方を探すことをお勧めします。
この1,2年の間で、日本企業の多くが中国との人材育成に力を入れ始めてきたな、と感じています。日本から製品開発を中国へ発注するという短期的ビジネスではなく、中国の技術者を日本企業内で2〜3年間教育し、一人前にして中国に戻して日本とのビジネス仲介役や取引先企業のSEマネージャーとして活躍させるといった、確実で長期的なビジネスです。彼らが日本と中国のビジネスをコーディネートしていくキーマンとなっていくのだと期待しています。
また札幌でも、中国企業への橋渡しやサポート、さらに現地での品質管理や研修指導といったコーディネートのできる「エージェント」としての人材や企業が増えてくれば、中国とのビジネスにおいて、サッポロバレーの新しいスタイルが生まれるのではないでしょうか。中国と日本の架け橋となるブリッジSEを養成していくことが、札幌の差別化となると感じます。国内大手からの受託系ビジネスがサッポロバレーからアジアへと流れている現状がありますが、中国に関して言えば、まだまだデータベースの維持管理などは任せることができるレベルに達していません。例えば札幌でしかできない緻密なきめ細やかな作業は札幌で、簡単な開発系の作業は中国へ振るというように、札幌独自のコストパフォーマンスを国内大手へ見せることも受託ビジネスには大事なことかもしれません。
最後になりますが、時間をかけて信頼関係を築き上げれば、中国ほど懐が深く人情味あふれるビジネスをする国はないのではないかと思えます。長い年月をかけて人脈と信頼を培えば、可能性が無限に広がっていき日本よりも仕事がしやすいと言えます。当社にとって中国とのビジネスは、外食・経営コンサルなど数あるビジネスの中のひとつであり、もはや特殊なことではありません。
|
中野 善夫
株式会社マス研 代表取締役会長
|
|
|
|